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東かおるさん(ジャズボーカル・ニューヨーク市立大学・ニューヨーク)
音楽留学体験者でなくては分からないような、音楽大学、音楽専門学校、音楽教室のコースプログラム、現地の生活情報などを伺ってみます。将来の自分の参考として活用してください。
東かおるさん
今回はアメリカニューヨークにあるニューヨーク市立大学シティカレッジ校にてジャズボーカルをお勉強中の東かおるさん(本名:川東郁さん)にお話を伺いました。大阪でも定期的にライブ活動を行う彼女がニューヨークで得たものとは?
− ご自身の簡単なプロフィールをご紹介いただけますか?
えっと、日本では理論とかは自己流で、短大のときからプロについてレッスンを受け始めました。そこの先生に本気でやりたいなら、一刻でも早くニューヨークに行くようにといわれて、それで留学をしようと思ったんですが、資金の面もあり、6年間日本のジャズバーで、ウェイトレス兼シンガーとして働いて、貯金しました。現場で生演奏できる環境で、ボイストレーナーにもついていました。あとはクラシックの基礎知識もつけようと、そういった学校でも習いましたね。
− 短大に行かれるまでは、音楽のご経験はなかったのですか?
3歳から10年間ピアノはやっていました。高校のときに歌手になりたいと思って、タレントの養成所で基礎の勉強をしました。音楽をいろいろ聴くようになって、ジャズにたどり着いた感じです。
− 歌手になりたい、というきっかけはありますか?
何か自分の気持ちを伝えたいというのがあって、あまり自分はしゃべるほうではないので、演奏とか歌を歌って、表現したいというのがありました。あとは、父が英語の教師で、英語のリズムに昔からなじんでいて、洋楽を聴くようになって、というのが大きいと思います。
− ジャズに関わってからは何年ぐらいですか?
19からレッスンを受け始めているので、8年になります。
− 現在はシティカレッジの何年生ですか?
学部の2年生にあたります。あと2年ありますけど、資金面が大変ですね(笑)とにかく近い将来の目標というのは、卒業するってことです。その後は1年間Practical Training Visaが出るので、ニューヨークにいながら、どこを活動の拠点とするか考えて生きたいと思います。
− ライブ活動を結構なさっていますよね?
毎年1回は日本でライブをしています。卒業後も年1、2回は日本でもやりたいし、ニューヨークか日本、どちらを拠点にするかというのはまだ考えていないですね。
− 学費についてですが、どのように準備しましたか?
6年間働いて貯めて、4年分の学費と1年分の生活費程度は準備できました。生活費に関しては苦しいですよ。アパートをシェアしたり、親にも工面してもらったりしながらやっています。
− 学校生活についてですが、やはりアメリカの大学はかなり宿題が多いですか?
ニューヨーク市立大学の仲間達
そうですね、かなり多いです。編入なので、22単位は短大から移行できたのですが、あと100単位近くはこっちで取らないといけないですね。音楽学部の宿題は多いし、練習をしないといけないのがほとんどなので、学校が終わってから練習したり、学校の練習室でみんなでやったりしています。ボーカルのクラスは 1,2個で、後は理論中心なので、ピアノを触りつつ、頭で練習という感じです。
− 一般教養に関してはいかがですか?
専門外のことをやるので本当に大変です。今サマークラスで数学を取っているのですが、日本とやり方も違うし、テストとかちんぷんかんぷんで。大学レベルの数学で、分析みたいなこともしないといけないし、英語がずらずらと黒板に書いてあるので、国語みたい?な感じですね。語学力がもっとあれば、と思います。
− TOEFLはどのようにお勉強なさいましたか?
1 年半費やして勉強しました。ほんと思い出したくないぐらい悲惨な1年半でしたね。ライブの仕事もしつつ、学校にも通ったんですが、点数は入学基準ぎりぎりぐらいでしたね。そのときはとにかく基準値に達していればいいや、と思っていたんですが、あの時やっておけばいま苦労しなかったのに、って思います。
− 語学で苦労なさることありますか?
やっぱりさっきの数学とかでも一瞬のうちに言ってることを理解して、受け答えする、というのが難しい。音楽の面でも表面的にしか意味が理解できていないと、表現に厚みが出ませんし。大量に宿題があると、飛ばし読みして、大切なところだけ追っていくんですけど、短い文の中でも内容がぎっしりだと、どう深く問われているのかがわからなくなっちゃうんですよ。消化した上で、一呼吸おいてから答えを出すことならできるんですけど、キャッチボールのようには出てこないという感じです。1年経ってやっと慣れてきたところですね。私は語学学校とか一切行かなかったので。
− アメリカ入りして、すぐに大学の授業だったんですか?
そうなんです。だからクラスメイトとランチを食べに行っても話すスピードについていけず、答えようとしたらもう次の話題になっちゃっている、って言うような感じで、「かおるはなんて静かな子なんだ」って思われてましたね。
− 着いてすぐに学校だと、宿泊先探すのとか大変だったんではないですか?
宿泊先は、その前に観光ビザで3ヶ月滞在している間に見つけました。インターネットで見つけて、抑えておいたんです。インターネットとか、口コミとか、新聞なんかで物件自体はわりと見つかると思うんですが、ルームメイトの問題だとか、考えても見なかったようなことが起こるんで、なかなか気に入ったところを見つけるのは大変だと思います。
− もうすでに2、3回お引越しなさってるんでしたっけ?
そうですね。周りを見ていてもそのぐらいはしていますよね。それだけのエネルギーは蓄えておいたほうが良いと思います。(笑)
− いろいろと大変ですよね。ところで、学校ですが、どのように選ばれたんですか?
18 歳のときに歌の先生にニューヨークへ行った方がいい、と言われたときには、大学に行くつもりはなかったんです。最初は語学学校に行ければいいかなと思っていたんですが、シンガーの人に行くなら語学よりも、今からTOEFLの勉強だけやって、大学行った方がいい、ってアドバイスを受けて、その人もシティカレッジ卒業していたので。あと親友がちょうどシティカレッジに入って、「すごいいいよ」って聞いて、ここに決めたって感じですね。自分一人ではとてもじゃないけど、検索とかしてもCity Collgeにはたどり着けなかっただろうなと思います。
− 学校には満足してらっしゃいますか?
そうですね、もうちょっとボーカル系のクラスを作って欲しいと思いますけど、理論をやらないことには先に進めないので、楽器向けのカリキュラムもシンガーには難しいんですが、やっています。理論がシンガーにとってどれだけ必要なのか?って言われるとどうだろう?とも思うんですが、ジャズをやる上では、とてもいい学校だと思います。
− 先生はどのように見つけてらっしゃいますか?
ジャズのワークショップがあったり、公開レッスンに行ったりしています。個人レッスンも交渉したり、知り合いからの紹介や、お誘いで行きますかね。ほとんどが口コミなんですが、ホームページにもレッスンのお知らせがあったり、大学に来ている先生のプライベートレッスンを受けたりという感じですね。後は、別の学校のプライベートレッスンで、クラシックの声楽を勉強しています。
− クラシックとジャズ、どうして両方なさっているのですか?
まずボーカリストとしては、基本は発声になるんですね。ジャズとクラシックは別って言いますけど、ジャズであろうと、クラシックだろうと、ポップスだろうと、隔たりなく発声というのが基本なんです。どんな音楽も基本はクラシックからなので、クラシックをやっていると、音のクオリティといういのを求められるので、ちゃんと音が出ないと格好がつかない。まずクラシックの曲で発声をやって、声が出てきたらジャズを消化しながらやるというのが日々ですね。一日でも練習してないと忘れちゃっているので、毎日しないとなかなか声をキープしていくのが大変なんですよ。
− 授業はどのような感じで進められますか?
ボーカルは、アンサンブルとコーラスのクラスがあるんですが、みんなで歌う形ですね。ジャズシンガーというクラスはソロです。課題曲があって、練習しつつという形です。
− 先生はどのように教えてくれますか?
シティカレッジでも個人でクラシックボーカルをやっているのですが、その先生は、発声と発音について研究なさっている方で、主に歌よりも、発音を治してもらってます。日本人はまず発音を注意されるんですね。私も完璧に近くした上で歌いたいので、それには注意しています。シンガー向けの発音のクラスがあって、音声学をやるのですが、1つ1つの単語を研究していくので、とても役に立ちました。
− やはり日本人だと「r」や「th」の発音とか言われるんですか?
そればっかりじゃなく、数限りなく注意されますね。私なんかは逆に子供のころからやっていたので、「r」がまき気味で、too muchと注意されました。けどアメリカ人でも歌った後に、この発音が〜とか注意されているし、ヨーロッパ人でもそう。標準が何なのか、ちょっとわからないんですけど、とにかく発音は大変ですね。
− クラスの人数は何人程度ですか?
シンガーのクラスは定員があって、8、9名ですね。他のクラスは20人ぐらいかな。定員のあるクラスは登録をした後にオーディションがあるので、ドキドキものです
− お勉強している上で、日本と違う点ってなにかありますか?
日本で音大に行ったことがないのでわからないんですが、個人レッスンを受けていて思ったのが、日本だと、イタリア語、フランス語の歌はとにかく丁寧に‘発音する’と言うのに重点が置かれますが、アメリカの場合は、英語はもちろん、他の言語の曲でも意味をすごく問われます。一つ一つの意味をわかった上で歌いなさい、って。それは違うなと思いますね。英語の歌でも、より深く、なぜこの単語、この表現がここで出ているのか、わかって歌っているのか?と聞かれます。分からないというと、その場で教えてくれたり、勉強してきなさいといわれたり、まちまちですが、そう考えてみると日本のジャズシンガーというのがどこまで理解して歌っているのかな〜と思いますね。日本にもジャズの研究の本だとかスラングの本はありますけど、実際にこっちに来てみないとわからないことがたくさんあって、日本ではわからない、勉強できない部分がありますよね。それは日々の生活習慣だったり、習しだったりするわけですけど。生活してみて、肌で感じられるというのは大きいですね。
− そこまで理解を深められると、歌も以前とは違った感じになるのではないですか?
そうですね。日本に帰ってきたときに感じますね。ライブをやるとお客さんの反応も変わっていますし、アメリカでの勉強がこういうところで役立っているんだ、と実感できます。
− ニューヨークでもいろいろライブとかなさっていますよね?
ジャズライブ
今は話があるとお受けしている程度ですね。今年からはもうちょっと余裕が出てくるだろうから、やってみたいとは思っているんですけど。
− ニューヨークのクワイヤにも参加なさっているとか?
学校の先生が指揮をしているので、それのお誘いを受けて毎週1回やっています。
− 学校でのお友達はどんな方が多いですか?
留学生同士が多いですかね。アメリカ人の友達ももちろん多いのですが、シティカレッジはイスラエル人と日本人が多いのかな?助け合いの精神がみんなあってとてもいい雰囲気です。いろいろな国の人同士なので、価値観が違って、変なところで怒らせちゃうと収集が着かなくて大変ですよね。ラテン系はハッピーなときはいいけど、トラブルがあると大変なので、怒らせないようにするとか(笑)。日本人以外は結構時間にルーズだったりするので、そういう点では日本人同士が一番信用できます。
− 1日のスケジュールはどんな感じですか?
学校がばっちりある日は9時から夜の7時までとかですね。平均して、3,4コマ入っているので、だいたい毎日6時間弱ぐらいですね。
− 治安についてハーレムということでしたが、気をつけていることなどありますか?
ハーレムと言えども昼間は全く安全です。でも夜は、公園など人の少ないところまた慣れない場所には絶対に行かないことです。現に友人も襲われました。が、必要以上に怖がらず、でも隙は見せない、ということに気を付けています。
− 生活面や、お勉強の面で苦労したことって特にありますか?
毎日が苦労の連続です。。。いろいろあるんですけど、最近はアパートのガスが止まってしまって、大家にいっても管理人にいっても相手にされなくて、いまだにどうにもなっていないんですよね。泣き寝入りをする羽目になるかも。あとはハーレムに住んでいるんですが、新鮮な野菜が食べれない、とか?大阪出身なので、納豆とは縁遠い生活をしていたんですが、こっちに着てからは食べれるようになっちゃいました。食文化はいろんな国の人が着ているから見ていても面白いですよね。電話とか光熱費とか申し込みをしていても手続がうまくいかなかったりとか、勝手にプランを変更されていたりだとか、いろいろ苦労はあります。ほんと、いかに戦って、信念を曲げないかというのが日々の課題ですね。言われちゃうとそうかな〜って納得しちゃうんですけど、おかしい、と思ったことに関しては、貫き通していかないとダメだと実感しています。1年が過ぎるまではあまり文句とか言わないようにしていたんですが、最近は積極的に何でも言うようにしています。面白いことに、アメリカは自分が発言することによって、新しい道が見えてきたりするので、言った者勝ちというのがありますね。何でも口に出していわないと損です。一番悪いのは、ウダウダ考えて、抑えてしまうことですね。一番損しちゃうので。大学は人数が多いので、事務処理にすごい手間がかかるんですね。ミスとか結構あるので、そんなときは声を大にして、一つ一つ言っていかないといけないですね。
− 自分が留学して成長したと感じる瞬間ってありますか?
小さい問題にあたふたしなくなったというのがありますね。価値観の違うところに住んでいるので、一人一人の考えも違うし、ある程度聞き流しして、対応したりだとか、自分をしかり持っていないと、って言うのがあります。アメリカに来たことによって、自分が日本人だということを強く意識したし、日本人の良さを発見したというのもあります。ただ、良さは持ちつつ、アグレッシブになるところもないと、大変なので、日本人の規則正しいところとか、はんなりしたところ、周り家の気遣いも持っていこうと思うようになりました。
− 留学してよかった点は?
英語の歌やジャズが常に身近にあるというのがとてもいいです。例えば歌詞でMy love とかdarling というのが合って、日本にいるときは使わないじゃないですか。でもアメリカでは友人同士で言い合ったりとか、彼氏彼女の間で使ったりだとか、そういうのを聞くと歌詞の一つ一つの理解度が詳しくなりますよね。こういうときに使うんだとか、分かると常に英語の生活に溶け込んで言ってると思いますね。
あとはニューヨークは世界中から一流といわれるものや人が集まっているので、一流を安く見れたりというのがすごくいいです。友人の友人が有名な人だったりとか、刺激があって、それでまた頑張ろうと思えます。いろんな意味で自分が強くなってるかな〜と思います。道を切り開いていく大変さとかあるけれど、ふと振り返ってみると、一人で頑張ってきたんだ、と達成感、充実感がありますよね。日々の生活はいっぱいいっぱいなんだけど、これだけやったんだなと振り返ったときに達成感とか、良かった、っていう、日本では味わうことができなかった感触があります。勉強も量が半端じゃなくあって、泣きそうになりながらですけど、終わったときの達成感があるし、みんな学生同士助け合ってやっていこうっていう姿勢があってそれも楽しいし頑張ろうっていう気になります。音楽論で分からないことがあったら、わかる人がリーダーシップをとってみんなで課題に取り組んだりだとか、学校生活の醍醐味を感じますね。社会人だと個人個人のことになってくると思うんですけど、学生はもちろん個人は個人なんだけど、助け合いというのがとても良いと思います。とにかく達成感の一言に尽きますよね。
− これから留学を考えている方に一言どうぞ。
学校側との書類上でのトラブル、ビザ関係でのトラブル等、なかなか事が思うように進まず、ストレスを感じることは多々あります。そういう時の為に、時間と心の余裕も持つことです。それから、明確な目標を持つつことです。これさえあれば、どんなに大変な時でも道は見えてくるだろうと私は信じています。
− 今日はありがとうございました。後2年間でまたどれだけ東さんが活躍なさるのかが本当に楽しみです。頑張ってください!
東かおるさんのHPでは、現在の彼女の様子がわかります。是非チェックを!
http://www.kaorumusic.com
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ケルン放送管弦楽団首席ファゴット奏者水間博明さん
ドイツ連邦共和国
オーストラリア連邦
ウィーン国立音楽大学教授陣のプライベートレッスンコース開講
Vol.020【2008.01.01号 国内公開レッスン】
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