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小寺佑佳さん(クラシックピアノ・エコールノルマル音楽院・パリ)
音楽留学体験者でなくては分からないような、音楽大学、音楽専門学校、音楽教室のコースプログラム、現地の生活情報などを伺ってみます。将来の自分の参考として活用してください。
小寺佑佳さん
東京都出身。4歳からピアノを始める。東京藝術大学音楽学部附属音楽高等学校に在籍中、都内においてソロ、室内楽のコンサートを行う。2004年に高校を卒業後、ヴァイオリンやチェロを扱う弦楽器商に勤務。2005年、現在の師、パトリック・ジグマノフスキー教授と出会い、渡仏。パリ・エコールノルマル音楽院ピアノ科に在学中。
(インタビュー2005年12月)
ー 現在はパリのエコールノルマル音楽院にいらっしゃいますが、ご留学したきっかけというのは何かありますか?
小寺 きっかけは現在の師匠と出会ったことです。
ー それはどこでお会いされたのですか?
小寺 今年の夏に公開レッスンを受けてそこで出会いました。それがきっかけです。レッスン以降、先生とメールでコンタクトを取っていて、お許しが出たのが9月頭でした。
ー 今年の夏にレッスンを受けてもう10月にはフランスに行ったのですか?ビザはどうしたのですか?
小寺 ビザは先生の許可を頂いてから急いで準備に取り掛かったので発行までに1ヶ月弱かかりました。
ー 試験はどのように行われましたか?
小寺 エコールノルマルは少し試験が特殊で、ディレクターの前で任意の曲を2曲弾きます。異なった時代の。それを聞いてディレクターがその生徒の入学するレベル(階級)を決めるんです。なので落ちるということはありません。
ー 語学は1ヶ月間で集中して勉強したのですか?
パリの酒屋さんにて
小寺 何もやってませんね。急に留学が決まったので、準備に必死で。行けばなんとかなると思い込んでいたのもあって。これから大変です。一応英語は少ししゃべれるので、レッスンは英語で先生に教えて頂いてます。先生はフランス語と英語を話されるので。問題はないけどフランス人は基本的にはフランス語しかしゃべらないので...。
ー 別の先生だったらフランス語の勉強はしていったほうがいいですか?
小寺 はい。私の先生が特殊ですね。何もコミュニケーションが出来ないので意味がないと思います。
ー 学校の手続き書類も全部フランス語で書いてありますよね?それは誰かサポートしていただいているのですか?それとも自力でやっているのですか?
小寺 なるべく自分で辞書を引きながら四苦八苦やってはいるんですけど、ほとんど友人に頼りっきりですね。ついこの間なんて、書類と学費の提出が遅れてしまって私の名前が生徒登録から消されそうになったことがありました。その時は本当に助けてもらいましたね。こっちの手続きって時間通りにやってくれないんです、忘れてた〜とかそういう感じなんですけど。それに一緒になって私もだらだらやってたら、突然登録消去の警告をしてきたり。学費早く振り込めって感じで。お金に関しては結構厳しいと思いますが、とても外国人に親切な学校です。
ー レッスンはどのように進められていますか?
小寺 レッスンは基本的に週1回です。先生が忙しくてみて頂けない時は、次の週に2回入れて帳尻を合わせてくれます。
ー フランスで授業やレッスンを受けてみて日本と違うなという点はありますか?
小寺 人によりますね。意見の交換ももちろんそうですけど、あとはやっぱり演奏の中での映像のキャパシティーが広いと思います。
ー 自分としても勉強になるなと思いますか?
小寺 楽しんで勉強するようになりました。先生のする表現がまず面白くて。
リズム感が体にしみついているのも外人の先生の特徴だと思うんですけど、例えばショパンの英雄ポロネーズのタタタッタというリズムがあったとしたら、それをステップして踊ってくれるんです。横でわーって騒いでいるんです。それを隣でやってくれるとこっちもイメージが湧くんです。頭で考えないで体ですんなり感じることができます。
ー 先生のレッスンは週1回ですが、他に何か基礎的な授業はありますか?
小寺 はい。室内楽、楽曲分析、ソルフェージュ、初見などがあります。でも実技のみで学校に通っている人もいれば音楽科目の授業もちゃんととってやっている人もいます。
ー 日ごろ練習はどういうふうになさっているんですか?ピアノの付いている部屋を借りられましたか?
エコールノルマル音楽院在籍
小寺 いや、ピアノは買いました。結構借りる人とか、ピアノを売って帰国しちゃう人のピアノを買ったりする人もいるんですけど。あとレンタル。私がフランスにいたい時間、こっちに滞在している時間がどの程度になるかわからないので、もしかしたら元を取ってしまうかもしれないので買ってしまいました。買ってもらいました!(笑)。
ー 練習はいくらしても大丈夫というアパートですか?
小寺 いえ。違いますね。音楽可能じゃない所です。こっちのアパートは音出し可能な所はないに等しいぐらいないんです。やっぱり隣人問題が多々あって物件情報誌に音出し可能と載っていても実際、音出しを許可するのは隣人なので、隣人と交渉なり、なんなりして物件を見定めるのが大変だと思います。私も最初は音出し可能と家主に聞いて入居したのですが、隣人から苦情が来て、駄目になってしまって。今は練習はサイレントピアノを使っています。ヘッドフォンオンリーで。
ー おうちを見つけるのは大変でした?
小寺 大変でしたね。困り果てていたところ、幸いにも知り合いのアパートを貸して頂くことになって、あとはトントン拍子でした。物件は日本にいる間に決まったんですが、不動産の関係で急遽11月からの入居になってしまったので、渡仏してから入居日までは友達のところで世話になっていました。
ー 学校はどういう国籍の方が多いですか?
小寺 アジア人ですね。日本人が特に多い。フランス人はもちろん、中国人、韓国人、イギリス、アメリカなど様々です。ノルマルは外国人が多い学校です。
ー 学校の掲示板は英語もありますか?
小寺 たまにあったりしますね。でもほとんどフランス語なので、必死です。英語でなんとか救われてる面も多いですが、実際暮らしてみてフランス語が読めなくてしんどいし、日本人以外の人とは会話ができないので、フランス語を真面目に勉強しようと思います。時間ができたらまた語学学校とエコールノルマルと両方やっていきたいですね。
ー いまおうちでは時間的にはどのくらい練習しているんですか?
小寺 日によって全くしない日があるんです。やる気がある時にはずっとトイレ以外はピアノにむかってます。間に合わなくて。レッスンの直前までかかってます。
ー そうすると先生にばれちゃったりしません?
小寺 ばれますね(笑)練習した?って言われて、返答にあたふたしてると、まぁ答えなくてもわかるけど!って言われたりしてびっくりします。
ー 学外コンサートなど学生さんはなさっていますか?
小寺 学生が学外でやる機会は多いと思います。試験でいい成績を取った人にはリサイタルをさせてくれたり、学生のコンサートも頻繁に行われたりしていて活気的です。
ー 1日のスケジュールはだいたいどんな感じですか?
小寺 何もない日はPCをいじって、語学勉強して、一通り終わったらピアノをさらいます。基本的にさらいだすのは毎日夜ですね。うちの環境は下の階が夜中から朝まで賑やかなバーなので、ガンガンうるさい時にヘッドホンをしてピアノをさらっています。レッスンがある日はたまにグループレッスンだったりするので、半日過ぎます。
ー グループレッスンはどんな感じですすむんですか?
小寺 みんなでそれぞれが受けるレッスンを聞き合います。その後、先生が聞いている生徒たちに質問をしたりして、意見を言い合います。人のを聞いて勉強するという感じですね。
ー そういうのは凄く勉強になりますよね。周りの人達の勉強態度は日本と違うことはありますか?
小寺 やる気のある人、ない人で違いますね。頑張っている人はやっぱり積極的に先生についていって反論したり自分の意見を言ったりとかします。悩んでいることを試してという形ですね。
ー 留学はずっと前からしたいと思っていましたか?
小寺 はい。漠然としたいと思っていましたが、進路に迷っていたのでそれがきっかけになって。音楽を続けることはお金もかかるし、色々考えなければいけないことがあったので、知り合いのところで働いていて、ピアノを一年半ほど休憩しました。
ー 今後はどういうふうになっていきたい思っていますか?
小寺 これから状況がどのようになるのかはわからないのでなんとも言えないのですが、できればこっちに拠点を置いて、できることを色々経験していきたいと思っています。ソロ以外にも室内楽、伴奏法など力をつけていきたいです。臨機応変に対応出来るように。
ー 留学して良かったと思う瞬間ってありますか?
パリのスーパーでお買い物
小寺 以前より精神的にタフになりましたね。今まで日本にいて、実家暮らしだったので甘えがありました。母国にいれば文化の違いにショックを受けることも、言葉の壁を感じたこともなかったし、ただ生活することで苦労を感じたこともなかったですね。あとは留学してから、海外で勉強させてもらっている。という自分の立場に責任をもてるようになりました。あと、価値観が変わりますね。フランス人はルーズだし、気質も違うし、そういった点を受け入れないといけないですね。
ー フランス人と付き合うのは結構大変ですか?
小寺 そうですね。自己中でルーズでプライドが異常に高い人が多いので。中でも本当に勘弁して欲しかったのは、入学手続きのこと。、出願をしたら、学校側から送られてくる仮入学許可証があるんですが3、4週間待っても来なくって。それがないとビザの申請ができないので学校に連絡してみたら、「願書なんか届いてない」って言われました。その後、しつこく請求していたらやっと思い出したみたいで「あ〜、忘れてた!今から送る。」という返事。とても困りました。結局入学時期をオーバーしたんです。でも外国人だしビザの関係でしょうがないという感じで許可が下りました。
ー 学校の雰囲気はどのような感じですか?
小寺 凄く古くて、歴史ある建物です。そして世界的に有名な音楽家たちが創立し、輩出されている学校です。入学年齢制限がないので、子供から大人までいます。そういう意味で勉強したい者に対して壁はないですね。例えばパリ国立音楽院なんかは年齢制限が早いのです。ちなみに私はもうオーバーしています。確か入学当初、21歳未満じゃないと入学できなかったと思います。
ー じゃ今の選択はばっちりですか?
小寺 ばっちりですね。先生がどっか行っちゃわない限り。
ー ひょっとしたら、エコールノルマルに来た時には先生がいなかったという可能性もあったということですか?
小寺 ありますね。そこは先生とのコンタクト命です。留学する時に自分がつく先生とのコンタクトをまめにやらないと。つきたい先生がいる学校に行ってみたものの、その先生がその年、違う国の学校で教えるということになっていて、すれ違いになるということもありえますから。
ー 自ら動くというのが大事ですよね。
小寺 そうですね。きっかけはこっちからやらない限り何も起こらないとつくづく思いました。先生に呼ばれて留学したという話も聞きますが、生徒自身にやる気がなければ先生も呼び寄せられないと思います。先生も呼ぶならそれなりのケアをしなきゃいけないから、面倒なことですよね。もちろんやる気を見せれば喜んでみてくれますけど。
ー 自らアピールしていくことが大事ということですよね。
小寺 そうですね。外国に来て、日本人は少し遠慮がちな印象を受けました。こっちの人は我が強すぎて引いちゃうくらいです。やりすぎ?ぐらいがちょうどいいと感じるようになりました。
ー フランスに留学したいって人に何かアドバイスしておきたいことありますか?
小寺 日本と違って物事がスムーズにいかないので、手続きは早めに。待っていないで積極的に行動した方がいいと思います。あとは、ちゃんとした目的がないまま留学しても意味がないので、何のために留学したいのか、よく考えることですね。リスクも誘惑もあります。サポートしてくれる周りの期待を裏切らないよう、自分自身しっかりすることが大切だと思います。
ー これからも頑張ってくださいね。
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