H.K様/ギルドホール音楽院、ライプツィヒ音楽大学、トロント王立音楽院

H.K様/ギルドホール音楽院、ライプツィヒ音楽大学、トロント王立音楽院
-まず簡単な自己紹介ということで、現在までの略歴を教えてください。留学する前までの音楽の経験
は? 何歳からなさっていましたか?
H.Kさん:4才からピアノを始め、地元の高校の音楽科を経て、桐朋学園大学音楽学部ピアノ学科に入学しました。大学卒業後渡英し、英国ギルドホール音楽演劇大学で修士課程を修了しました。
その後、ドイツライプツィヒ音楽演劇大学で大学院課程を修了し、カナダトロント王立音楽院のフェローシップコースを経て、再びドイツに戻りました。それ以来、約7年間ドイツの国立音楽学校でピアノ講師をしております。
-留学したきっかけを教えてください。
H.Kさん:子供の頃から、外国にとても興味がありました。クラシック音楽をより深く学ぶためにも、その音楽が生まれた土地で生活をすることはとても重要だと考えました。
-どうやって現在の学校を選びましたか?現在の学校に決まるまでのいきさつを教えてください。また、決め手になった点はなんでしょうか?
H.Kさん:ギルドホール音楽演劇大学は、大学の同じ門下の先輩が彼女の先生を紹介して下さり、その先生のレッスンを数回受けさせて頂く機会がありました。
先生のもとで学びたいと思い、受験する運びとなりました。
ライプツィヒ音楽演劇大学は、先生の評判を聞き、一度レッスンを受けてみたいと思い、先生に直接連絡を取りました。
Vorspielをお願いし、ご縁があって勉強させて頂くことになりました。
トロント王立音楽院は、過去に2回参加させて頂いた、ドイツで行われたマスタークラスでお世話になった先生のご配慮で、研鑽を積ませて頂ける運びとなりました。
-どのような試験・出願書類が必要でしたか?何か書き方のコツはあるのでしょうか?
また、試験の思い出、苦労話などありましたら、教えてください。
H.Kさん:指定された出願書類を印刷し、それに直筆で記入しました。念の為、知り合いにダブルチェックしてもらいました。
課題曲はバロックから近現代までの曲を準備し、それぞれ区切りのいいところでストップされます。
自分のカラーを短い時間でなるべく出せるように、選曲はとても重要だと思います。
-手続きで苦労した点はなにかありますか?
H.Kさん:ビザ申請、銀行口座開設、インターネット、保険、アパートなど初めにやらなければならないことは国によっても色々異なるので初めは大変でした。
-留学準備はどのくらい前から始めましたか?
H.Kさん:日本から渡英するための準備は、大学3年生から少しずつ始めていたので約2年間です。
それ以降の留学は同じヨーロッパ圏内、または既に海外にいたため、試験の曲の準備がメインでした。
-学費はどう捻出しましたか?
H.Kさん:英国は、少し奨学金が出ましたが、両親のサポートがありました。
ドイツは、私が勉強していた当初の学費は無料でした。ドイツの州政府の奨学金を頂き、生活費が免除でした。
カナダは、学校のスポンサーより奨学金を頂き、学費、生活費ともに免除でした。
-語学は日本でどのくらい勉強しましたか?現地でも語学学校に行った方がいいでしょうか?
H.Kさん:英語は子供の頃から好きで、英会話教室に通っていました。
学校の夏休みなどを利用して、英語圏に数回短期留学をしていました。
現地に身を置くことで学べることも沢山あるので、現地の語学学校に行かれるのはとても良い事だと思います。
ドイツ語は、大学時代専攻していたのですが、全くしゃべることができず、ドイツに移り次第語学学校に通いました。
-学校はどんな雰囲気ですか?その学校ならではの特徴は何かありますか?
H.Kさん:ギルドホールは学校内が非常に明るく、とても楽しかったです。
周りの人たちも学生寮に入っていたので、気心知れた仲間が多かったです。
練習室のピアノの数はあまり多くなく、良いピアノばかりではないため、少し苦労することもありました。
しかし、寮から学校まで近かったため、数回に分けて練習室を待ったりすることも可能でした。
俳優オーランド・ブルーム、ユアン・マクレガーなどを排出している演劇科も同じ建物内にあり、演劇科の人達と話す機会やコラボの授業などもあり、とても視野が広がりました。
ライプツィヒ音大は、メンデルスゾーンやシューマンが教鞭をとった歴史を感じさせる、非常に重厚感漂う雰囲気があります。
練習室待ちの学生は受付近辺に集まり、そこで新しい友達に出会ったりもします。
練習室の数はそれなりに多く、ピアノの質も高い部屋が多いです。
クラシック音楽の深みを肌で感じながら、集中して自分磨きができる環境だと思います。
個人的にはこの学校での研鑽が、今の自分の大半を締めていると思っています。
トロント王立音学院は、カナダということもあり、皆が本当に温かくてフレンドリーな印象です。
困ったことがあれば、必ず誰かが手を差し伸べてくれるというような感じです。
練習室の数も多く、モダンな造りで、全てのピアノが非常にいいコンディションです。
学生にとっては贅沢な環境と言っても過言ではないでしょう。
コンサートホールが学校に直結されており、世界の著名な音楽家の方々のコンサートが無料で聴けるなど、インスピレーション溢れる日々でした。
-日本人はどのくらいいますか?
H.Kさん:ギルドホールは、4人程度でした。
ライプツィヒ音大は、入学した当初は5人程度でした。
トロント王立音楽院は日本人は私1人でした。
-日本と留学先で大きく違う点を教えてください
H.Kさん:先生方とのコミュニケーションの仕方が違います。
同僚のように接して下さる状況が多いように思います。
特にドイツにおいては、生活習慣の中にクラシック音楽が根付いています。
クラシック音楽とキリスト教との深いつながりも日々実感します。
-学校の授業はどのように進められますか?
日本でしっかりやっておいたほうがいい勉強などありましたら教えてください。
H.Kさん:他の学生達や先生方とのディスカッションをする授業が日本に比べて遥かに多いと思います。
周りと意見が異なっても、自分の意見をしっかり持ち、それを皆と共有できるように心がける事は重要だと思います。
-日ごろ練習はどのようにしていますか?
H.Kさん:学校の練習室で主に練習していました。
卒業後は自宅のピアノで練習もしますが、思い切り練習したい時は、練習室を有料で借りています。
-学外でのセッション、コンサートなどは行われますか?
H.Kさん:はい。学校にもよりますが、音大生によるコンサートなど多々企画されます。
-1日の大体のスケジュールを教えてください
H.Kさん:ロンドンの修士課程は、1年での修了を選択したため、毎日びっちりでした。
講義、授業を受け、ほぼ毎日エッセイを提出し、一週間に一回実技のレッスン、その間に弾き合い会もありました。
夜は練習といった感じでした。
ドイツでの課程は授業もありましたが、実技がメインだったため、そちらに集中することができました。
また、副科ピアノの生徒を毎週数人レッスンする義務があり、彼らの中間試験や期末試験に向けての準備がありました。
トロントでは、演奏する機会が多く、実技がメインで、コンサートやマスタークラスに向けて練習の毎日でした。
-現地の音楽業界へのツテはできますか?
H.Kさん:先生方との繋がりにもよると思いますが、ツテはあまりできないと思います。
これに関しては、自分で働きかけるしかない印象です。
-周囲の人の学習態度に関しては、日本とどう違いますか?
例えばどのような点が違うと思いますか?
H.Kさん:自分の意見をしっかり持ち、先生とも意見交換をできる事が重要だと思います。
ドイツの学生はそこまで言ってしまっても大丈夫なのかと思うほど、自分の意見をぶつけて来ることが多々あります。
そのような社会で対等に生きていくためにも積極性はとても重要です。
-授業以外はどのように過ごされていますか?
H.Kさん:自然が綺麗なところに散歩に行ったり、コンサートを聴きにいったり、映画を観たり、友人たちと食事したりなどでした。
-日本人以外の人たちと付き合うコツはありますか?
H.Kさん:誰とでも真摯に接することで、互いの信頼を築けると思います。
-生活費はだいたい1か月いくらぐらいかかりますか?
H.Kさん:ロンドンは10年以上前の当初でも、寮の滞在費を入れて15万円位でした。
ライプツィヒは8万円程度で生活は可能だと思います。
学生寮やフラットシェアにすればもっと安く生活できるかもしれません。
トロントは15万円位は最低でもかかります。
-留学してよかったと思える瞬間は?
H.Kさん:色々な価値観を学び、自分の視野が広がったことを実感した時です。
-留学して自分が変わった、成長したというところはありますか?例えばどんなことですか?
H.Kさん:難しい状況、場面において臨機応変に対応することができるようになったことと、音楽の深みを前よりも理解できるようになったことです。
-今後はどのような進路を考えていますか?
H.Kさん:今までの経験を活かし、人のためになることをしていきたいです。
-これから留学する人が、心しておかなければいけない点、アドバイスしておきたいことがありましたら、お願いします。
H.Kさん:慎重に考えすぎず、やるだけやってみるという思い切りの気持ちは必要だと思います。
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