現代留学事情

〈音楽留学〉という言葉から何を思い浮かべますか? 1年以上の長期に渡り、学位取得やプロを目指し海外の音楽大学や音楽院で外国人の友人と共に勉強する姿、でしょうか? もちろんその〈留学〉が一般的です。しかし最近は、趣味の多様化やニーズの変化に対応して、留学のスタイルもかなり多岐にわたっています。女性誌などでも よく取りあげられている3ヶ月以内の短期留学がひとつの特徴と言えるでしょう。短期留学の参加者は、音大生、音高生、音大卒業生、海外を経験したい音楽講 師、音楽を趣味としている方、小中学生などレベルや年齢を問わず、意欲とほんの少しの実行力があれば、想像以上に簡単に留学できる機会が増えています。そ こで今回は音楽留学の全体像を把握するため、留学のパターンをご紹介します。ご自分に合った音楽留学のスタイルを見つけてみませんか?

海外生活にどっぷり浸る音楽大学・音楽院留学
(1年以上・中級~プロ)

留 学といえばまず思い浮かぶ海外音楽大学、音楽院への進学。入学条件や卒業までの年数は、日本で音楽大学に在籍したか、学部・大学院に行きたいか、どのよう な資格を取得したいかなどの諸条件によって異なります。近年は多くの国や学校で語学力の規定が定められています。また、師事したい先生がいるなら、事前に コンタクトを取っておくことが肝心です。日本と教育制度が異なる国も多く、留学前のきちんとした下調べが重要になります。

気軽に行ける夏期・春期講習・マスタークラス
(1週間程度~2ヶ月程度・初級~プロ)

短 期留学でもっとも定番なものが講習会です。世界的に著名な先生のレッスンを受けられるほか、参加者同士のレッスン聴講やコンサート出演の機会があるのが魅 力です。また音楽を学ぶだけでなく、海外の雰囲気をつかむことも可能です。夏期講習は、規模が大きく選択肢も非常に多岐にわたります。春期講習は、数は少 ないのですが、夏と比べ、航空券も安くヨーロッパの音大受験仕上げとしても活用できます。

時期を選べ、落ちついて受講できるプライベートレッスン
(1週間程度~3ヶ月程度・入門~プロ)
音楽学校や教授陣からプライベートでレッスンを受講します。「講習会だと時期や期間が合わない」「じっくりレッスンをしてもらいたい」「人前でレッスンを 受けるのはちょっと……」など個人のさまざまなニーズに対応できるのがプライベートレッスンです。講習会ではわからない先生の人柄や音楽性・相性もプライ ベートレッスンならしっかりと理解できます。またレッスン内容の自由度も高く、先生と今後の進路相談などができることも大きな特徴でしょう。

語学学校+音学レッスン
(1種間程度~1年程度・入門~プロ)
語学学校に通いながら音楽レッスンを受講します。語学力アップをはかりながら、音楽学校や教授陣のプライベートレッスンを受講します。
さて、ご自分にあった留学スタイルは見つかりましたか? 次項は長期音楽留学の国別特徴をお知らせします。

長期音楽留学の国別特徴

今回は大学や音楽院(長期留学)に行く場合の国別特徴についてご紹介いたします。とはいえ、もっとも大切なのは国や学校を問わず「自分にあった先生を見つける」の一言に尽きるので、あくまでも国ごとの紹介は参考です。誌面の関係上ほんの一部の国のみの紹介となりますが、気になる国があれば要チェック!
アメリカ 私立から公立まで幅広く学校があります。学校の形態も総合大学の音楽学部や専門の音楽院までさまざまです。取得資格は学位、修士など。クラシック、ジャズ、ポップス、ロック、音楽療法、音楽学など分野も幅広く、レベル、年齢も幅広いのが特徴です。大学、短大が充実しているため、専門学校はあまり多くありません。私立は学費が高いのですが、とくに著名な教授陣を揃えています。一方公立は学費も安く、例外はありますが比較的入試にパスしやすいと言えます。
イギリス 5つの王立音楽大学のほか、私立の音楽大学、音楽院が充実しています。また一般大学の音楽学部も豊富です。クラシックやジャズはもとより、多くの大学でポップスやロックも学べることも特徴です。学校は10月開始がほとんどですが、前年の10月〜12月ごろに出願締切の学校も多く出願には注意が必要です。大学院レベルは1年間で修了することができます。取得資格は学位、修士など。学費は比較的高くなっています。
ドイツ 各州に州立音楽大学(日本では「国立」と訳されることが多いのですが実際は州立)が全部で23校あります。それに加え、一部の大学音楽学部、私立の音楽院が複数あります。各音楽大学で試験内容や年齢制限、ドイツ語資格の有無なども異なります。また現在、教育制度が、伝統的なディプローム(10−12ゼメスター)を取得する制度から、日本と同じように学位や修士を取得できる制度に変革中です。改革時期のため学校によってはかなり調査が必要です。州立音楽大学の学費は非常に安くなっています。
オーストリア オーストリアには、大学3校、私立音楽大学(旧市立音楽院)2校、複数の州立音楽院、私立音楽院があります。ドイツと同じく制度の改革中です。近年、市立であった音楽院も私立に体制を変え、音楽大学になりました。オーストリアは、ホームページ等で公開されている試験内容と実際の内容が異なる場合もありますので、担当者への確認が必ず必要です。公立、私立を問わず学費は安くなっています。
フランス フランスは、ふたつの国立高等音楽院(CNSM)、総数47の各地方の地方音楽院(CNR)、国公立音楽院、私立音楽院があります。とくに日本人の受験率が高いパリ国立高等音楽院ピアノ専攻は、年齢制限があるため遅くとも日本の大学在学中に受験する必要があります。各地方音楽院の中でもパリ地方音楽院にはとくに著名な教授が多く、私立ではエコールノルマル音楽院が有名です。
イタリア 各州に州立音楽院があり、また市立、私立の音楽院があります。ミラノ・ヴェルディ音楽院やローマ・サンタチェチーリア音楽院などがとくに有名です。私立ではピアノコンクールの受賞者が多数輩出されているイモラ音楽院などに人気があります。公立、私立を問わず学費は安くなっています。

ヨーロッパはボローニャ宣言により教育制度の改革が各国・各学校で進行していますので、受験前によく調査する必要があります。そのほかの国でもご質問があれば、左記連絡先にお気軽にお問い合わせください。 次項は長期留学前の先生の見つけ方、留学プランについてなどになりますので引き続きご覧ください!

いざ留学! その前に(1)

「留学しよう」と思ってはみたものの、何から手をつけたらいいのかわからない……。留学自体の基本プランが しっかりしていないと、現地に行ってから後悔してしまいます。そこで今回は音楽留学でもっとも重要なふたつの要素、「先生」と「国」のプランニングをご紹 介いたします。

1 先生を決める[最重要]
1年 以上の長期留学の場合、「よく知らないけど、この学校良さそうだし、みんな行ってるし、先生や先輩も良いって言っていた」ということで、何も知らずに学校 の出願をし、手続きを進めていませんか?海外は日本と習慣も大きく違い、教育体制も年々変化しています。人の噂や日本で有名な学校というだけで選ぶのでは なく、自分の意志を明確にして、留学前に先生を決めることが重要なポイントとなります。焦る気持ちを抑えて、まずは先生探しをしていきましょう。 先生との出会いのチャンスは? そうはいっても、海外の先生に出会う機会がない、と思われる方も多いのではないでしょうか? たくさんの先生に出会えるという点で人気があるのは、現地での夏期講習会、春季講習会、マスタークラスなどがあります。こうした講習会のメリットは、一度 にたくさんの先生のレッスンを見るとこができることです。多くの講習会では、受講できる先生はひとりですが、そのほかの先生のレッスンは聴講が可能なの で、先生の教え方などをチェックできる良い機会です。 本当はプライベートレッスンが一番いいのかも……。 講習会はたくさんの先生のレッスンを見られますが、逆にいえば先生も多くの方が見ていることを前提にレッスンをしていますので、本当のお人柄まではわかり えないもの。また時間的な制限で、雪崩式にレッスンが終ってしまい、将来のことを相談する暇もない、ということも考えられます。その点プライベートレッス ンなら、先生も時間にゆとりを持ってレッスンができるので、今後の進路もじっくり相談することが可能です。 ※プライベートレッスンのアレンジをアンドビジョンでも手配していますので、気になる先生がいる場合は、気軽に相談してください。

2 国を決める
も うひとつ気をつけておくことは、あなたが留学先の国に合うかどうか、という点です。当たり前のことですが、留学は基本の生活がうまく行ってこそ、勉強に集 中できるもの。たとえば、几帳面で時間をきっちり守る、という人が、イタリアやフランスなどのラテン系の国へ行った場合、そのルーズさに参ってしまうかも しれませんし、万事につけあまり主張をしない人が、アメリカに行くと、相手の都合のいいように翻弄されてしまい、すっかり疲弊してしまうかもしれません。 「こんなはずじゃなかった……」とならないように、一度トライアルとして現地へレッスンや語学学校などに行くのがお勧めです。
良い留学をするためには、急がば回れ! となることが多いですね。
次項は実際に留学をする際の、予算、タイムスケジュール、必要手続きなど具体的なことについてご紹介いたします。

いざ留学! その前に(2)

留学を考える上で重要なことは、何といってもあなたの音楽をさらに伸ばしてくれる先生との相性です。でもい ざ「留学をするぞ!」というときに具体的なプランニングの重要項目となるのは、「予算」や「留学までのスケジュール」です。せっかく先生が見つかったの に、「予算が足りない」、「スケジュールが合わない」とならないよう、ひとつずつ要点を押さえて自分で納得のいく良い音楽留学を実現させましょう!

1 予算について
留学予算を考える場合、学費、滞在賃、生活費(食費、光熱費、交通費、電話代、インターネットなど)はもちろん、その国の物価や為替レートを考えなくてはいけません。
もっとも関心が高い学費を中心にお話ししますと、海外の学校も日本と同じように、国公立、私立によって学費もすいぶん変わってきます。ヨーロッパの国公立 の学校は、大多数が登録料を除いて授業料は無料でしたが、近年は少しずつ学費が必要となっています。たとえばドイツやオーストリアの国公立は、年間で約 17~26万円前後、アメリカの場合、約120~140万円です(為替レートにより変動)。私立の場合、ヨーロッパは年間約50~100万円、アメリカは 約250~300万円、イギリスは為替レートの関係上すべてが2~3倍程度に感じられ、王立の音楽大学でも約350万円といったところです。世界的にみれ ば年間10万円程度から400万円程度まで学費の範囲があることになります。学費については教育システムの変化により日々変動しますので、自分の行きたい 国や学校をよく調べて少し高めに設定しておくことが大事です。
宿泊費や生活費などの物価について、ごく単純に大ざっぱに言ってしまうと、日本で100円で買えるものがヨーロッパだと1ユーロ、アメリカだと1ドル、イ ギリスだと1ポンドかかる感覚です。家賃も東京で月5~8万円程度のものが、ヨーロッパですと500~800ユーロ、アメリカだと500~800ドル、 500~800ポンドといった感じです。ですから宿泊費や生活費は、為替レートが大きな基準になってきます。こう考えると少しは計算しやすいのではないで しょうか?

2 留学スケジュールについて
長期留 学のスケジュールは、「受験」から逆算して1年から2年前程度の余裕を持って組み立てる必要があります。国によって受験は数ヶ月~1年前ですので、知らな い間に「願書提出期間が過ぎていた!」「受験が終っていた!」とならないように気をつけましょう。また、海外は日本と比較して、書類の紛失、提出書類の突 然変更、などはよくある話です。提出書類についても、TOEFL、IELTS、ZDなど語学力の証明書、英文履歴書、法廷翻訳が必要な書類など時間がかか るものも多くなっています。提出する書類をきちんと把握するのはもちろんのこと、遅くても3ヶ月ぐらい前には動きはじめておきたいものです。
詳細スケジュールは、各国、各学校によって異なりますので、興味のある学校、国があれば、アンドビジョンまでご相談ください。次項は現地に行ってからの生活などについて、お知らせいたします。

現地に到着してからの生活

受験にも合格し、あこがれの海外生活! 海外でのコンサートや一流オーケストラの演奏を聞いたり、日本とは違う町並みを楽しんだりなど、留学生活はわくわくすることでいっぱいです。でもその前に! 現地到着前、到着後に必ずやらなくてはいけないことを総チェック!

1 現地到着前にしておくこと
●役所手続き。海外への住民票移動届、年金や市民税、健康保険など現在住民票のある役所で手続きをしましょう。年金は海外滞在中でも支払いを継続することができます。
●資金面の準備。日本で国際キャッシュカード(都市銀などで発行)を作成しておくと、日本の口座から現地通貨の引き出しができて大変便利です。
●関係者へのご挨拶。ご家族やお友達のサポートがあってこその留学。周りの方へのご挨拶は忘れずに。

2 到着後にすべきこと ●ご家族への連絡。到着後、すぐにご家族へご連絡してください。無事に到着しているか、自分が思っているよりも家族は心配しています。
●在留届。3ヶ月以上、海外へ滞在する方は、滞在国の日本大使館(領事館)に在留届を提出します。何かあったときの安否確認のためにも、現地到着後、速やかに郵送またはファクスなどで在留届を提出しましょう。
●海外の役所手続き。滞在する国によって異なりますが、とくにヨーロッパへご留学の方は、住民登録や滞在許可申請など、現地でも役所関係の手続きをしなく てはいけません。外国人局、移民局など呼び方はさまざまですが、現地の役所や警察に行くことになります。どこの国でも同じですが、手続き自体は書類さえそ ろっていれば難しくありません。ただし非常に長時間待たされる、対応がぶっきらぼう、そして、外国語での対応ということは心しておきましょう。到着後3日 以内、8日以内など現地に到着してから、登録までの期間が定められている国もありますので、学校が始まる少し前の入国がおすすめです。海外においては、あ なたは〈外国人〉です。初めての関門ですが、手続きを忘れると不法滞在となりますので充分気をつけて手続きしましょう。
●お部屋探し。生活の基盤である住まい。今後の滞在を安全で気持ちよく過ごすために、また、必要もない引っ越しを何度もしないように不動産探しは慎重にお こないましょう。候補が決まれば、実際に朝と夜に自分の目で確かめて、周囲の雰囲気や音出し可能かなど確認しましょう。またアパート賃貸契約には契約書を 読めるだけの語学力も必要です。語学が不安な方は、通訳を手配するなど損をしないような対策を取っておきましょう。
●ピアノレンタル、購入。練習環境の確保はとても重要な問題。ピアノは現地でレンタルや購入ができます。に本からの輸送も可能ですが、時間や金銭面、輸送 中の楽器の損傷、音質変化などの心配があるので、現地調達をしたほうが無難でしょう。ちょうど留学を終えて帰国する人がいれば、その方々から譲り受けるこ とも可能です。

次項は、音楽留学の総集編。実際の体験者の声と、留学に本当に必要なものは? についてご紹介します。

留学に必要なものは本当は何か?

「キミの音楽は海外で伸びる」最終回。今回は、実際に留学する際に、必要なことをすでに短期、長期留学した方々の実際の意見を紹介しつつ、読者の皆様にもご自分で考えていただければと思います。留学に必要なもの、それは……???

実際に音楽留学した人たちの声
●悩むより、考えるよりまず行動を。日本にいて練習をするよりも、現地でさまざまな体験をしてピアノと向きあうと、自分の中でたくさんの発見があると思います。きっと将来の進路にプラスになるものがみつかるはずです。
●自分が学びたいと思う国に行ってみることが大事だと思います。セミナーの開催期間に練習室やレッスン会場を往復するだけではなく、現地の文化に少しでもふれてみると新しい発見があるのではないかと思いました。
●何をするのにも積極的にしないと生活していくのが苦しくなっていくと思うので、言語や生活の習慣など積極的に学んでいく姿勢が大切だと思います。留学を考えている方はなるべく早めに行きたい場所を決めて、実際体験していくといいと思います。
●今さらもう遅い……と思っている方がいらっしゃったら、ぜひ短期でもレッスンを受けられることをおすすめします。きっと大切なことが得られますよ!
●迷うのならば、ぜひ一度行ってみるべきだと思います。ただ、先生選びはしっかり情報を集めて、きちんと選ぶべき。
●言葉が通じなくても大丈夫。思いきって行ってみてください。楽しいです。
●何とかなるさの精神で大らかにいてください。あと、自分の想いは伝えたもの勝ちです。図々しいとか思っていると生きられないです。
●留学は、考えているならしてみたほうがいいと思います。行ってみて、得たものが本当に大きかったので、まず身を置いてみることが大事だと思います。
●日本では学べないことがたくさんあるので、留学は長期でも短期でも絶対にしたほうがいい。


アンドビジョンに返信される帰国後アンケートには、面白いことに上記のようなコメントがたくさん書かれています。皆さん異口同音におっしゃるのは、「迷う なら実践してみて!」「後で後悔しないで!」という点につきます。「行きたい」という点につきます。「行きたい」という気持ちと、「実行力」そしてほんの 少しの「準備と勇気」さえあれば、留学は、得られるものが多く、そして実際に実現も可能です。 留学に必要なもの、それは綿密な計画や充分な語学力ではなく、「行きたいという気持ち」と「ほんの少しの勇気」です。実際に海外をご自分の目や耳、肌で感 じさらにご自分の音楽を伸ばしてください。


今まで全6回、できるだけ手短に音楽留学の全体像をお話ししてきましたが、限られた誌面ですので想像上も実務上もまだまだ疑問がたくさんあると思います。今後講習会を含む短期または長期留学をご検討されている場合はお気軽にアンドビジョンまでご相談ください。


今度はあなたが海外に飛び出す番です!

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